オカルティズムとみなされる学問は、基本的に存在物の隠された象徴を読み取る行為に根差している。占星術も例外ではなく、宇宙という存在物から意味を抽出しようとする試みである。

 人間にとって存在している事物として確実に認識できるもののなかでも、もっとも共通性を持つものが太陽や月さらにその他の恒星などの煌めく天界であろう。太陽はその見える位置により、季節が変わり、生物が成長し死滅して行くという周期を認識させる。勿論それは単なる物差しとしてではなく、太陽がなければ生物も生きられないように明らかに人間にも直接的な影響を与えている。
 
 そのような影響関係は現代科学でも認めていることである。太陽に限らず、遠くの恒星からも光やその他の放射線の影響があることも事実である。だがそれらおよびそれらの組み合わせが、人間の人生とも照応し、さらにはそれを読み取ることで未来の予知までも可能であるとすると、多くの人々は否定する。

 しかし一切のものは緊密に連関し合い、一般に偶然と呼ばれるものは真の偶然では決してなく、感知できないだけの微細で無限の相における必然の結果であるという考え方を取るならば、星辰の運行が人間の運命とも連関しているとみなすことも論理的整合性を伴っているであろう。無限の相における因果関係を順序立てて説明すること
は、無限の時間が必要であるため実質的に不可能である。そこで原因と結果の照応関係を体型化するという方法がとられる。占星術はこの点に立脚している学問である。
 上に示しだ図版は、15世紀に作成された『ペリー公の時祷書』中の一葉である。占星術の象徴と人体各部の照応関係が見事に美しく図示されている。

 このような関係は、人間の外部に存在するものは、人間の内部にも照応するものを持つという考え方からなっている。それはマクロコスモス(宇宙・神)とミクロコスモス(人間)の関係として象徴化される。つまりそれは、人間の各部位の集まりが肉体を構成しているのと同様に、宇宙は黄道12宮により構成されており、それぞれ照応関係を持つということを示している。